実家の片付け見積もり、総額だけで比べていませんか? 見積書を同じ項目に並べ替える方法
結論
総額だけで選ぶ前に、見積書を同じ項目に並べ替えて比べましょう。 書いていない項目は0円ではなく「未確認」として、業者に聞いて埋めます(手帖のおすすめ)。 見積書は業者ごとに様式も項目の中身も違うので、総額だけでは比べられないからです(下の「なぜ総額だけでは比べられないのか」)。この記事が合う人
- 片付け・遺品整理・不用品回収の見積書が2社以上から届いた人
- これから見積もりを頼むので、何を書いてもらえばいいか知りたい人
- 見積書に「一式」とあって、中身が分からない人
合わない人(別の記事・窓口へ)
- 片付け業者の許可の見方を知りたい人(「片付け業者の資格・許可」の記事へ)
- すでに作業が終わって、請求でもめている人(消費者ホットライン「188」へ)
なぜ総額だけでは比べられないのか
2020年3月の総務省の報告(調査に協力した遺品整理事業者69社への聞き取り)では、次のことが分かっています。(※S30)
- 遺品整理の料金に公定・公認の仕組みは無い(廃棄物の処理・リサイクルには公定のルールや価格がある場合もある、と報告は断っています)
- 報告が集めた見積書を見ると、共通の様式は無く、同じ項目名でも、人の作業量で見る業者と、遺品の量(車両)で見る業者があり、中身が違う
- 見積書に追加料金の条件を明記していたのは、69社のうち4社
- 契約書を作っていたのは、69社のうち43社(そのうち6社は見積書を契約書の代わりにしていた)
国民生活センターも、作業内容や費用の単価が書かれていない書面や、契約書面すら無いケースがあると指摘しています(2018年7月の発表)。(※S82) 総額が安く見えても、入っていない作業や、あとから加わる費用があれば、比べたことになりません。
見積もりを頼む前に確かめること
- 見積もり自体に費用がかかるか(出張料・見積料)を、呼ぶ前に確かめる(※S82)
- 複数の業者から見積もりを取る(※S70)
- 見積もりに、作業内容・料金・追加料金の有無を明記してもらうよう、山形県の資料は勧めています(※S80)。手帖では、あとで並べて比べられるように、書面でもらうことをおすすめします
- 処分しない物は分けておく(※S70)。残す物の分け方は「実家の片付けで「残す・処分・保留」を家族に伝えるには?」へ
見積書を並べ替える表(手帖のおすすめ)
届いた見積書の金額を、次の項目に書き写します(印刷して書き込んで使えます)。ごみを運ぶ会社の許可や契約の相手の確かめ方は、「片付け業者の資格・許可は何を見ればいい?」で別にまとめています。この表は金額の項目に絞っています。書いていない項目は空欄にせず「未確認」と書き、右の列の質問をします。
| 項目 | A社 | B社 | 書いていなければ聞くこと |
|---|---|---|---|
| 作業内容・範囲(どの部屋・何をするか) | この金額に含まれる作業と部屋を書いてもらえますか | ||
| 作業の人数・日数・終わる日 | 何人で何日、いつ終わる予定ですか | ||
| 車両・運ぶ量 | 量が見込みより多かったら、いくら・どう決まりますか | ||
| ごみの処分費・運搬費 | 処分費は込みですか、実費ですか | ||
| 家電・仏壇など特別な物 | 家電や仏壇などの費用は入っていますか | ||
| 買い取り(差し引く額) | 買い取る額は合計から引いていますか。品目ごとの額を書けますか | ||
| 追加料金の条件 | 追加料金がかかるのはどんな場合で、いくらですか | ||
| キャンセル料 | キャンセル料は何日前から、いくらですか | ||
| 支払いの時期・方法・前金 | 支払いはいつ、どの方法ですか。前金は要りますか | ||
| 見積書の合計(書いてある分) | — |
「一式」とだけ書かれていたら、糸島市の消費生活センターは具体的な作業内容の説明を求めるよう(※S76)、伊丹市の消費生活センターは具体的な作業内容を書いてもらうよう(※S77)助言しています。
画面で並べて、会社ごとの「聞くこと」まで出すなら:見積もり比べ表(入力は端末の中だけで扱います)
並べ替えるとこう見える(架空の例)
架空の例(手帖の計算例)
数字はすべて架空です(相場ではありません)。
| 項目 | A社の見積書 | B社の見積書 |
|---|---|---|
| 作業(人数・日数) | 未確認(「一式」に含むか聞く) | 9万円(3人・1日) |
| 車両・運搬 | 未確認 | 5万円(2トントラック2台) |
| ごみの処分費 | 未確認 | 未確認(「実費」とだけ書いてある) |
| 家電・特別な物 | 未確認 | 未確認 |
| 買い取り | 未確認 | −2万円 |
| 諸経費・出張費 | 0円(出張費無料) | 1万円 |
| 一式 | 22万円 | — |
| 書いてある分の合計 | 22万円 | 13万円 |
B社のほうが安く見えますが、B社は「ごみの処分費」と「家電」が未確認で、ここに金額が入ると合計が変わります。A社は「一式」の中身がすべて未確認です。この段階では、どちらが安いかはまだ分かりません。未確認の欄を質問で埋めてから比べます。
キャンセル料と、当日の追加料金
- キャンセル料は、いつから・いくらかかるかを契約の前に確かめるよう、国民生活センター(2018年7月の発表)や糸島市の消費生活センターが助言しています(※S82・S76)。
- 消費者契約法では、キャンセル料(違約金)のうち、同じ種類の契約の解除でその業者に生じる平均的な損害の額を超える部分は無効です。また業者は、キャンセル料を請求する場合に、求められたら、その算定の根拠の概要を説明するよう努めなければなりません(第9条)。(※S75)
- 当日、作業の前に料金と作業内容を確かめ、変更の提案に納得できなければ作業の前に断るよう、国民生活センター(2022年11月の発表)は助言しています。(※S83)
- 豊岡市は、当日示された料金で払うと、その金額で契約が成立し、あとから返金を求めるのは難しい、と注意しています(2021年8月31日更新)。(※S78)
- 作業中や作業のあとに、聞いていない高い金額を求められたときは、納得した金額を後日払う意思を示しつつ、その場での支払いは断るよう、国民生活センター(2022年11月の発表)は助言しています(身の危険を感じたら警察へ)。(※S83)
自分から業者を呼んだら、クーリング・オフはできない?
自宅などで契約する「訪問販売」には、サービス(役務)の提供も入ります。訪問販売に当たれば、不備のない書面を受け取った日から8日以内はクーリング・オフができます(自分から請求した場合など、下の除外に当たるときを除く・特定商取引法 第2条・第9条)。(※S74・S83) ただし、自宅で契約の申込みや締結をすることを自分から請求した人には、書面・クーリング・オフなどの決まり(第4条から第10条)が当てはまりません(第26条第6項)。(※S74)
| 場面 | 訪問販売の決まり | 出典 |
|---|---|---|
| 見積もりだけのつもりで呼び、その場で契約した | 訪問販売の決まりが当てはまる場合がある(通達は「適用除外に当たらないと考えられる」) | 消費者庁の通達は修理などの例で説明(※S73)。国民生活センターは遺品整理・不用品回収で同じ考え方を示す(※S82・S83) |
| 広告で安い価格だけを見て呼び、実際の請求が大きく違った | 自分から請求した人には当たらないと考えられる | ※S73・S83 |
| 「この内容で契約するから来て」と、はっきり頼んで自宅で契約した | 自分から請求した人に当たるとされ、第4条から第10条は当てはまらない(クーリング・オフはできない) | ※S73・S74・S82 |
国民生活センターは、本文では「できる場合があります」「可能性があります」と書き、注では、見積もりのために呼んだ業者とその場で契約した場合は訪問販売の規定が適用されると書いています(※S82・S83)。実際に当てはまるかは事情によるので、迷ったら、消費者ホットライン「188」に相談してください。
業者に聞くこと
片付け業者に聞くこと
- 見積もりに来てもらうのに、出張料や見積料はかかりますか
- 見積書を書面でください。「一式」の中身(作業・部屋・人数・日数)も書いてもらえますか
- ごみの処分費は込みですか、実費ですか。運ぶのはどこの許可業者ですか
- 買い取る物があれば、品目ごとの額と、合計から引くのかを書いてもらえますか
- 追加料金がかかるのは、どんな場合で、いくらですか
- キャンセル料は、何日前から、いくらですか。その金額の根拠を説明してもらえますか
- 当日、作業の前に、見積書どおりの金額か一緒に確かめてもらえますか
印刷やスクリーンショットで、そのまま使えます。
次に確かめる先
制度・手続きを確かめる(公的な窓口)
- 消費者ホットライン「188」:見積もり・契約・請求で困ったとき、クーリング・オフが当てはまるか迷ったとき(※S82)
- 実家のある市区町村のごみの担当課:許可業者の名簿、自分で出す場合の出し方(※S83)
出典と確認日
- ※S30 総務省行政評価局「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」(令和2年3月) https://www.soumu.go.jp/main_content/000675388.pdf (確認 2026-10-25)
- ※S70 国民生活センター「遺品整理サービスを利用するときの手引き」(2018年7月19日) https://www.kokusen.go.jp/pdf/ihin_seiri180719.pdf (確認 2026-10-25)
- ※S73 消費者庁・経済産業省 通達「特定商取引に関する法律等の施行について」(令和6年11月19日) https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20241119la02_00.pdf (確認 2026-10-25)
- ※S74 e-Gov 法令検索 特定商取引に関する法律 第2条・第4条・第5条・第9条・第10条・第26条 https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057 (確認 2026-10-25)
- ※S75 e-Gov 法令検索 消費者契約法 第9条 https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000061 (確認 2026-10-25)
- ※S76 糸島市 消費生活センター「遺品整理の業者選びにご注意!」(2019年7月3日更新) https://www.city.itoshima.lg.jp/consumer/010/010701/20190703104220.html (確認 2026-10-25)
- ※S77 伊丹市 消費生活センター「遺品整理を決心したら~業者選びは慎重に」(2021年3月31日更新) https://www.city.itami.lg.jp/SOSIKI/SHIMIN/SYOHI/SYOHISEKATU_SODAN_ZIREI/heisei29nen/1511245929607.html (確認 2026-10-25)
- ※S78 豊岡市「不用品回収・処分を頼むときには十分確認してください」(2021年8月31日更新) https://www.city.toyooka.lg.jp/kurashi/shohisodan/shohiseikatsu/1012007/1017603/1018021.html (確認 2026-10-25)
- ※S80 山形県 遺品整理の資料(PDF) https://www.pref.yamagata.jp/documents/1875/ihinseiri.pdf (確認 2026-10-25)
- ※S82 国民生活センター「こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル」本文(2018年7月19日) https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20180719_1.pdf (確認 2026-10-25)
- ※S83 国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」本文(2022年11月2日) https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20221102_1.pdf (確認 2026-10-25)
- 架空の例:手帖で作った並べ替えの例です(相場ではありません)