実家の相談を何社かにするなら:伝える事実のシートと、共通の質問

更新:2026年10月25日

結論

相談の前に、伝える事実を1枚にそろえ、どの会社にも同じ事実を渡して同じ質問をし、答えを同じ表に書きましょう(手帖のおすすめ)。 分からないことは「不明」と書いて渡します。 問い合わせフォームや一括査定に送る前には、入力した情報がどの会社に・何社に渡るかを、送る前の画面で確かめます。個人データを第三者に渡すには、原則として本人の同意が要るからです(例外があります。下の「送る前に」の節)。(※S111)

この記事が合う人

  • 実家のことで、不動産会社・買取の会社・片付け業者に何社か相談したい人
  • 会社ごとに違う説明を受けて、比べられなくなっている人
  • 一括査定や問い合わせフォームに、何を書けばいいか迷っている人

合わない人(別の記事・窓口へ)

  • 1社にだけ相談すると決めている人(各記事の質問カードで足ります)
  • 相続人どうしで売るかどうかが決まっていない人(先に家族で話し合ってください)

伝える事実のシート(手帖のおすすめ)

欄書き方の例どこで確かめるか
所在地ふだんの住所と、地番・家屋番号固定資産税の課税明細書、登記事項証明書
種類・構造・築年・面積例:木造2階建て、延べ床面積○㎡課税明細書、登記事項証明書
名義例:父(故人)のまま/相続登記を済ませた登記事項証明書(権利部の甲区)
相続人例:3人。窓口は長男。売ることで一致/未定家族で確かめる
担保例:抵当権の登記あり/なし登記事項証明書(権利部の乙区)
登記されていない建物例:物置・離れ課税明細書(「未登記家屋」の表示がある例)
荷物例:多い。片付けは未定家族で確かめる
時期例:○年○月までに家族で決める
相談したいこと例:売る・貸す・解体も含めて相談家族で決める
ほかに相談している会社例:○社に相談中—
分からないこと例:境界・建築したときの書類・増築の有無「不明」と書く

自治体の空き家相談の申込書にも、同じような欄があります。例えば和歌山県の相談会の申込書には、相談する人の区分(所有者・相続人・相続人の代表など)、空き家の所在地(地名・地番)、相談の中身の欄があり、ほかの専門家に相談している場合は知らせるよう注記しています。(※S118) 福岡県の空き家無料相談会のチラシは、空き家の場所が特定できないと具体的な相談ができない場合があるとして、固定資産税の納税通知書や全部事項証明書など建物の情報が分かるものを持ってくるよう案内しています。(※S121)

家族に見せる1枚にまとめるなら:実家の現状整理シート(入力は端末の中だけで扱います)

書類で確かめられること

確かめたいこと登記事項証明書固定資産税の課税明細書
場所所在・地番、所在・家屋番号(※S123)所在地番・家屋番号(※S127)
名義(誰の名前か)権利部(甲区)の所有権の登記名義人(※S123)法律が決めた課税明細書の記載事項には無い(※S127)。名義は登記事項証明書で確かめる
担保(ローンなど)権利部(乙区)の抵当権など(※S123)記載事項に無い(※S127)
地目・面積・構造表題部(※S123)載っているが、課税上のもので、登記と違う場合がある(さいたま市の説明)(※S128)
登記されていない建物—「未登記家屋」と表示される例がある(さいたま市の様式)(※S128)
評価額—その年度の価格(※S127)
  • 登記事項証明書は、窓口・郵送・オンラインで請求できます。手数料は、窓口600円、オンライン請求で郵送受取520円、オンライン請求で窓口受取490円です(2026年2月2日更新の案内)。(※S124)請求には地番・家屋番号が要り、権利書や固定資産税の課税通知書が手がかりになると、横浜地方法務局は案内しています。(※S125)
  • 課税明細書の所在地番は、ふだんの住所(住居表示)とは違うことがあると、さいたま市は説明しています。(※S128)
親名義の不動産を一覧で探す方法と、その注意
  • 所有不動産記録証明書:登記名義人の相続人なども、名義人が持っている不動産の一覧を法務局に請求できます(書面での請求は1通・検索条件1件につき1,600円。2026年10月25日に確認)。ただし、検索に使う氏名・住所が登記と違うと出てこない、表題登記だけの不動産は対象外、などの注意があります。(※S126)
  • 名寄帳:名古屋市の案内では、名寄帳は相続人も閲覧でき(戸籍などが要ることがある)、非課税の土地・家屋は載りません。(※S129)閲覧できる人や手数料は、市区町村ごとに確かめてください。

どちらも、すべての不動産が漏れなく分かるとは限りません。

名義に関わる期限(法務省の案内)
  • 相続登記の申請の義務は2024年4月1日に始まりました。それより前に始まった相続も対象になり、期限は人によって違います。過料の決まりもあります。(※S123)
  • 売却などをするには、相続登記が必要です。(※S123)

個別の期限の判断は、法務局や専門家に確かめてください。

送る前に:入力した情報が誰に渡るか

やることは2つです(手帖のおすすめ)。

  1. 送る前の画面とプライバシーポリシーで、利用目的と、情報が渡る会社(何社・どの会社か)を確かめる
  2. 連絡のしかた(メールか、電話なら何時から何時か)を入力欄に書く
根拠になる個人情報保護法の決まり(詳しく)
  • 会社が、入力フォームなどで本人から直接個人情報を集めるときは、あらかじめ利用目的をはっきり示さなければなりません。ただし、集める状況から利用目的が明らかな場合などの例外があります(第21条)。(※S110)
  • 個人データを第三者に渡すには、原則として本人の同意が要ります。ただし、届け出をして本人の求めがあれば止める形(オプトアウト)や、委託・共同利用などの形では、同意がなくても渡ることがあります(委託先や共同利用の相手は、法律上「第三者」に当たらない扱いです・第27条)。(※S111)オプトアウトの届け出は、個人情報保護委員会のサイトで検索できます。(※S114)
  • あとで止めたいとき:法律に反して第三者に渡されているときや、会社が使う必要がなくなったときなどは、利用の停止や第三者への提供の停止を請求できます。ただし、多額の費用がかかるなどで代わりの措置をとるときは、この限りではありません(第35条)。(※S112)
  • 総務省も、個人情報を入れる前に、利用規約や利用目的を読み、情報がどう使われるかを送る前に確かめるよう勧めています。(※S116)

自治体の窓口の例:金沢市の空き家の相談の申請書は、利用目的・情報を共有する相手・共有する情報の範囲を書き、それに同意して申し込む形です。(※S119)北九州市は、専門家の団体に助言を求めるとき、所有者などの同意がなければ個人情報を伏せる、と決めています。(※S120)

最初の問い合わせで書かなくてよい物(手帖の判断):相続人全員の連絡先、売りたい最低価格、家族の詳しい事情。最初は、所在地・種類・名義と相続の状況・荷物の有無・時期・連絡方法の希望で足ります。

電話が続いて困ったら

不動産会社(宅地建物取引業者)は、契約しないという意思(勧誘を続けて受けたくないという意思を含む)を示した相手に勧誘を続けること、迷惑を覚えさせるような時間に電話や訪問をすることなどを、してはならないと決められています(宅地建物取引業法施行規則 第16条の11)。(※S117) 国土交通省は、禁じられた勧誘があったときは、日時・会社名・免許番号・担当者・言われたことを記録し、免許行政庁に相談するよう案内しています。(※S105) 相手が宅地建物取引業者かどうか、免許を出した役所はどこかは、国土交通省の「宅建業者企業情報」の検索で調べられます。(※S105)契約のことで不安なときは、消費者ホットライン「188」に相談できます。(※S104)

共通の質問

どの会社にも(不動産会社・買取の会社・片付け業者)聞くこと

  • いただいた情報は、御社のほかに誰に渡りますか(グループ会社・提携先・共同利用)
  • 連絡はメールでお願いできますか。電話なら○時から○時でお願いします

印刷やスクリーンショットで、そのまま使えます。

不動産会社・買取の会社に聞くこと

  • 相続登記がまだですが、相談・査定は受けてもらえますか。売るまでに何が必要ですか
  • 登記されていない建物(物置・離れ)がありますが、どう扱いますか
  • 手元の課税明細書と登記で、面積や構造が違う場合、どちらで見ますか

印刷やスクリーンショットで、そのまま使えます。

会社の種類ごとの質問は、それぞれの記事の質問カードにあります。

答えを並べる表:渡した事実ごとに(ひな形)

各社の答えを、渡した事実のシートの欄ごとに並べます。同じ事実を渡したのに答えが違う欄が、各社に重ねて聞くべき所です。

事実のシートの欄対象A社の答えB社の答えC社の答え
シートの版・渡した日すべて
名義・相続の状況(進められるか)不動産・買取
登記されていない建物の扱い不動産・買取
面積・構造の食い違いの扱い不動産・買取
荷物(そのままで進められるか)すべて
時期(売れる見込み・作業日)すべて
情報が渡る先すべて
連絡のしかたすべて

金額(査定額・提示額・見積もり)の並べ方は、仲介と買取は「仲介の査定額と買取の提示額、そのまま比べていませんか?」、片付けは「実家の片付け見積もり、総額だけで比べていませんか?」にまとめています。

次に確かめる先

制度・手続きを確かめる(公的な窓口)

  • 法務局:登記事項証明書の請求(※S124)、所有不動産記録証明書の請求(※S126)
  • 実家のある市区町村の固定資産税の担当:課税明細書・名寄帳(例:名古屋市 ※S129)
  • 実家のある市区町村の空き家相談窓口:例えば金沢市(※S119)
  • 個人情報保護委員会:オプトアウトの届け出の検索(※S114)
  • 免許行政庁(国土交通省の「宅建業者企業情報」の検索で調べられる):不動産会社の勧誘で困ったとき(※S105)
  • 消費者ホットライン「188」:電話が続く・契約で不安なとき(※S104)

出典と確認日