実家の片付けで「残す・処分・保留」を家族に伝えるには? 物に印・一覧・先に探す物

更新:2026年10月25日

結論

残す物は、口で伝えるだけでなく、物そのものに「残す・処分・保留」の印を付け、誰が・いつまでに決めるか、本人に確かめたかを書いた一覧で家族と共有しましょう。 その前に、遺言書・権利証・年金証書・通帳などは、処分を決める前に探して分けておきます。日本司法書士会連合会も、家に残った物は、まず現金・証書・写真・手紙などを選り分けてから処分する順番を示しています。(※S13)

この記事が合う人

  • 兄弟姉妹や親と実家を片付けるが、何を残すかがそろっていない人
  • 遠方に住んでいて、片付けを家族や業者に任せる部分がある人
  • 片付け業者に頼む前に、残す物をはっきりさせておきたい人

合わない人(別の記事・窓口へ)

  • 遺産の分け方そのもので、すでに家族の意見が分かれている人(下の「分け方でもめそうなら」へ)
  • 相続放棄をするか決めていない人(物を持ち出す・捨てる前に、専門家に確かめてください。理由は下の「相続放棄を考えている場合」)

口で伝えても、残す物は捨てられることがある

2020年3月の総務省の遺品整理サービスの調査報告には、依頼した人がその場で近くにいた作業員に指示を出し、自分の物は遺品と分けて処分しないよう事業者に指示していたのに、誤って別の作業員が運び出してしまった相談の例が載っています。(※S30) 総務省の同じ報告は、国民生活センターが、大切な遺品などを前もって区別してはっきり示しておくよう勧めていることも紹介しています。(※S30) 作業する人が何人もいると、口で伝えたことは全員には届きません。家族で片付けるときも同じです。だから手帖では、物に印・家族の一覧・本人に確かめたかの欄の3つをそろえることをおすすめします。

物に印を付ける(手帖のおすすめ)

印は、色だけでなく文字と番号で書きます(色の見分けにくい人や、写真で共有するときにも分かるように)。

札書くこと置き方
残す番号・誰が持つか(名前)持ち帰るまで、部屋の一か所にまとめる
処分番号・いつまでに・出し方(ごみ・買取・業者)処分する日まで、残す物と離して置く
保留番号・誰が決めるか・いつまでに決めるか保留の箱に入れ、期限の日に見直す
開けない・触らない番号・見つけた日と場所遺言書の封筒・権利証など、下の「先に探す物」の箱

「保留」には、誰が・いつまでに決めるかを書いておくのが手帖のおすすめです。決める人と期限があれば、保留の箱を見直す日を家族で共有できます。

家族の一覧を作る(ひな形)

番号品目場所札誰が持つ・決める期限本人に確認
例:1例:アルバム3冊例:2階の押入れ例:残す例:兄例:次の帰省まで例:確認済み/まだ

「本人に確認」の欄は、希望を聞いただけなのか、本人が確かめて決めたのかを分けるための欄です。調べ役の1人が書いた希望が、家族全員で決めたことに見えないようにします。 親が施設に入っているなど存命の場合は、親の物なので、「誰が持つ・決める」の欄を親にし、「本人に確認」が「確認済み」になるまで、札は「保留」のままにしておきましょう。

家族に見せる1枚にまとめるなら:実家の現状整理シート(入力は端末の中だけで扱います)

処分を決める前に、探して分ける物

探す物なぜ先に探すか(公的資料の根拠)
現金・預貯金(通帳)・有価証券・宝石など相続税がかかる財産の例に挙がっています(※S40)
遺言書(封筒)開けずに分けます。家庭裁判所の検認が要る場合があります(公正証書遺言と法務局で保管されている遺言書は不要)(※S33)
権利証(登記済証)再発行はできません。なくしても権利そのものは無くならず、別の方法で登記はできます(※S39)
年金証書年金を受けていた人が亡くなったときは、すみやかに届け出ます。その提出書類に「亡くなった方の年金証書」が挙がっています(※S38)。届出の要否や書類は、年金事務所で確かめてください
生命保険の証券相続税の計算では、亡くなった人が保険料を負担していた死亡保険金も、相続税がかかる財産とみなされます(※S40)。証券が見つからなくても、生命保険協会の照会制度で契約の有無を調べられます(有料・対象外の契約あり)(※S37)
スマートフォン・パソコンパスワードが分からないと、ほかの人がロックを解除するのは難しいとされています。ネット銀行の契約先が分からない、サブスクを止めたいがIDやパスワードが分からない、といった相談例があります(※S31・S32)
写真・手紙選り分けの最初の段に挙がっています(※S13)。大切な書類などを残す約束だったのに、アルバムなどまで処分された相談例があります(※S15)
仏壇・位牌など仏壇などは、まず仏具店などに相談するよう案内している自治体があります(※S12)

遺言書の封筒は、開けずに分けておきます

  • 遺言書を見つけた相続人は、遅滞なく家庭裁判所に「検認」を請求します。ただし、公正証書遺言と、法務局で保管されている遺言書は、検認が要りません。(※S33)
  • 封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人などの立会いのもとで開けます(※S33)。封印のある遺言書を家庭裁判所の外で開けると、5万円以下の過料の決まりがあります(民法第1005条)。(※S34)
  • 法務局の自筆証書遺言書保管制度には、相続人などが請求できる「遺言書保管事実証明書」などの証明書があります(※S35)。公正証書遺言は、公証役場で検索できます(※S36)。
仏壇・位牌と、民法の「祭具」について

民法第897条は、系譜・祭具・墳墓の所有権は、相続の一般の決まりとは別に、亡くなった人が指定した人、指定が無ければ慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき人が受け継ぎ、慣習が明らかでないときは家庭裁判所が定める、としています。(※S49) ただ、条文の言葉は「系譜・祭具・墳墓」で、仏壇や位牌がこれに当たるかを一般向けに説明した公的な資料は、手帖では見つけられませんでした。扱いに迷うときは、専門家に確かめてください。

手帖のおすすめ:表のほかに分けておく物
  • 借入やローン、レンタル・リースの書類と品物:返す物や、支払いが続く契約の手がかりになります
  • 用途の分からない鍵:どこかの物置などの手がかりかもしれません
  • スマートフォンやパソコンは、初期化・処分をしない:契約先が分かるまで、そのまま分けておきます

相続放棄を考えている場合 民法では、相続人が相続財産の全部または一部を処分すると、相続を承認したものとみなされます(保存のための行為などは除く・民法第921条)。(※S03) 形見分けや、保険金の受け取りなどがこれに関係するかを一般向けに説明した公的な資料は、手帖では見つけられませんでした。相続放棄を少しでも考えている人がいるなら、物を持ち出す・捨てる前に、弁護士や司法書士などの専門家に確かめてください。相続放棄の手続(申述)の窓口は家庭裁判所です。(※S05)

家族に送る確認文(そのまま使えます)

家族に聞くこと

  • 通帳・保険の証券・年金証書・権利証・遺言書・スマホのパスワードを探しています。場所を知っていたら教えてください
  • 残してほしい物があれば、○日までに、品目と誰が持つかを書いて送ってください
  • 保留の箱は○日まで置きます。それまでに見に来られますか。来られなければ、写真で確認しますか
  • 相続放棄を考えている人はいますか。いるなら、物を持ち出す・捨てる前に一度止めます
  • 業者に頼むときは、残す物を先に運び出すか、立ち会う日を決めたいと思っています

印刷やスクリーンショットで、そのまま使えます。

業者に頼むときは

2020年3月の総務省の報告では、調査に協力した遺品整理事業者69社のうち、原則として立会いが要らないとしていたのは14社でした。立会いが要らない場合でも、手元に残したい物を依頼した人に先に運び出してもらう、作業の前後の写真を送る、完了報告書を出す、といった方法で行き違いを防いでいる事業者があります。(※S30) 国民生活センターは、作業に立ち会うことも勧めています。(※S15) 業者に頼むときは、一覧の「残す」と「開けない・触らない」の物を先に運び出すか、一覧を見積もりのときに渡して、作業の日に立ち会えるかを相談しましょう。

処分の出し方は、市区町村で違います

3つの市区町村の案内を読み比べると、確かめる観点は次の3つです。

観点横浜市(※S42)東京都大田区(※S43)名古屋市(※S44)
粗大ごみの申し込み事前の申し込みが要る。収集の申し込みは9個までが上限事前の申し込みが要る—
一度に多く出るとき—引っ越しや大掃除などの多いごみは、有料の「臨時ごみ」として清掃事務所に事前に相談通常の収集・自分で施設に持ち込む・市の許可業者に頼む、のどれか
業者に頼むとき——市の許可のない業者は、ほかの人のごみを運べない
案内の更新日2026年10月23日2025年4月9日2025年10月17日

(「—」は、その案内のページに書かれていなかった所です)

実家のある市区町村に聞くこと

  • 粗大ごみは、1回に何個まで申し込めますか。収集までどのくらいかかりますか
  • 片付けで一度に多く出るときは、どこに相談すればいいですか(臨時の収集・持ち込み)
  • 業者に頼むときは、市の許可を持つ業者の一覧はどこで見られますか

印刷やスクリーンショットで、そのまま使えます。

分け方でもめそうなら

遺産の分け方について相続人の間で話し合いがつかないときは、家庭裁判所の「遺産分割調停」という手続があります。(※S41)

次に確かめる先

制度・手続きを確かめる(公的な窓口)

  • 家庭裁判所:遺言書の検認(申立先は遺言者の最後の住所地の家庭裁判所)(※S33)、遺産分割調停(※S41)、相続放棄の申述の手続(※S05)
  • 法務局:自筆証書遺言書保管制度の証明書(遺言書保管事実証明書など)の請求(※S35)
  • 公証役場:公正証書遺言があるかの検索(平成元年以降に作られた遺言。亡くなった後は相続人などが申し出られる・無料)(※S36)
  • 年金事務所:年金を受けていた人が亡くなったときの届出(※S38)
  • 市区町村のごみの担当:粗大ごみ・多いときの出し方(※S42・S43・S44)
  • 消費者ホットライン「188」:片付け業者とのトラブル(※S15)

出典と確認日