出張買取を頼む前に「売る物・売らない物」を決める|実家の着物・骨董・貴金属

更新:2026年10月25日

結論

出張買取を頼む前に、「売る物の一覧」と「見せない・売らない物」を家族で決めましょう。 当日は一覧の物だけを出し、一覧の外の物は見せないのが、手帖のおすすめです。 頼んだ物以外は、売らなくてかまいません。国の解釈では、ある品物の依頼で来た業者が、ほかの品物を勧めることは禁止です(例外は下の「当てはまらない場合」)。(※S213・S210)

この記事が合う人

  • 実家の着物・骨董・美術品・貴金属などを、家に来てもらって売りたい人
  • 親の家に業者が来ることになり、家族として何を決めておけばいいか知りたい人
  • 形見になりそうな物まで売ってしまわないか心配な人

合わない人(別の記事・窓口へ)

  • 店に持ち込んで売る人(千葉県船橋市の消費生活センターは、店に自分で持ち込んで売る場合はクーリング・オフは無いと案内しています ※S220)
  • 品物の値段の相場を知りたい人(この記事では値段の判定はしません)

なぜ「売る物」を先に決める?

全国の消費生活センター等に寄せられた訪問購入の相談には、頼んだ物とは違う物の売却を求められた例が繰り返し出てきます。(※S214・S215・S216)

  • 実家の不用品の処分のために家具の買取を頼んだら、時計や貴金属はないかと言われ、指輪やバッグを売った。翌日に返してもらったが、指輪が2つ足りなかった(2023年6月受付の相談の例)。(※S214)
  • 身に着けていた母の形見の指輪を、強引に求められた(2024年の発表の例)。(※S215)
  • 形見の指輪を返してほしいが、もう転売されていた(2017年の発表の例)。(※S216)

国民生活センターは、訪問を承諾する前に業者の名前と買い取ってもらう物の対象を確かめること、承諾していない貴金属などを求められたら断ることを助言しています。(※S214)売るつもりのない貴金属などは、むやみに見せないことも助言しています。(※S18)

国民生活センターの集計(全国の消費生活センター等の相談の登録)では、訪問購入の相談は2023年度8,623件、2024年度7,909件、2025年度7,523件です(2026年5月31日現在の登録分・2026年7月31日更新のページ)。(※S17)なお、2023年の国民生活センターの発表では、集計した「訪問購入」の相談に、特定商取引法の訪問購入に当たらないものも含まれる、と注記されています。(※S214)

売る物の一覧(手帖のおすすめ)

印刷して、家族で書き込んで使えます。残す物・処分する物の分け方は、「実家の片付けで「残す・処分・保留」を家族に伝えるには?」の番号を、そのまま使えます。

番号品物(種類・特徴)数売る/見せない家族の確認(誰が・いつ)残したい人がいれば、その理由
  • 「見せない」欄に入れる物の例:形見分けがまだの物、家族の誰かが残したいと言った物、貴金属・時計など頼んでいない種類の物(手帖のおすすめ)。
  • 頼むときに伝えること:業者には「この一覧の物の査定に来てください」と、品物の種類と数を伝えます。

架空の例(手帖の計算例)

書き方の例です(品物・人はすべて架空です)。

番号品物(種類・特徴)数売る/見せない家族の確認(誰が・いつ)残したい人がいれば、その理由
1着物(小紋・紺地)5枚売る長女・次女が10月に確認―
2帯(祖母のもの)1本見せない長女が10月に確認長女が残したい(祖母の形見)
3掛け軸(作者名は不明)2本保留(家族で相談してから)未確認次女の返事待ち

「見せない」に入れるかの決め方(手帖のおすすめ):①家族の誰かが残したいと言った物 ②形見分けがまだの物 ③業者に頼んだ種類の外の物(貴金属・時計など)は、一覧の「見せない」に入れます。迷う物は「保留」にして、当日は出しません。

当日まで・当日・8日間にすること

段階すること(手帖の提案)根拠になる決まり・公的な助言
頼む時業者の名前と、査定してほしい物の種類・数を伝える訪問を承諾する前に、業者の名称と買い取ってもらう物の対象を確かめる(※S214)
来た時業者名・買取の勧誘が目的であること・品物の種類を名乗ってもらう。一覧の外の物は出さない。貴金属などは目の届かない所にしまっておく。一人で対応しない業者は勧誘の前に、氏名・勧誘の目的・品物の種類を明らかにする決まり(特定商取引法 第58条の5 ※S210)。承諾するなら一人で対応しない(※S215)。貴金属を業者の前に出したままにしない(※S214)
一覧の外の物を求められた「一覧の物だけです」と断る訪問購入では、断った人に勧誘を続けることは禁止(第58条の6第3項 ※S210)。ある品物の依頼で来て、ほかの品物を勧めることも禁止という国の解釈(※S213)
契約した時書面を受け取り、品物の名前と特徴・数・価格・担当者の名前・業者の連絡先・クーリング・オフの欄を確かめる書面に物品名・特徴、担当者の氏名などを書く決まり。クーリング・オフの事項は赤枠の中に赤字(※S210・S212)
8日間迷う物は渡さずに手元に置き、家族に見せてから決める書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができ、その間は引渡しの日を決めていても品物を渡さなくてよい(第58条の14・第58条の15 ※S210)。ただし対象外の品物や、下の「当てはまらない場合」を除く
  • 8日間の数え方は「契約した日から」ではなく、書面を受け取った日から数えて8日です(申込みの書面を先に受け取っていれば、その日から)。やめるときは書面かメールなどの電子の記録で通知し、送った時に効力が出ます。(※S210・S19)
  • やめると通知するときは、特定記録郵便・書留・内容証明郵便で送るか、メールなら送ったメールを保存するなど、控えを残すよう消費者庁は案内しています。(※S19)
8日間のくわしい決まり(国の解釈)
  • 書面が渡されない、またはクーリング・オフの記載が欠けた書面なら、8日の数え始めが来ず、クーリング・オフできる期間が続くと国は解釈しています(対象外の品物や、下の「当てはまらない場合」は除く)。(※S213)
  • 品物を渡さずにいる間は、特約が無ければ、業者も代金の支払を後にできると国は解釈しています。(※S213)
  • 業者が「家族が集まる週末まで手元に置きたい」と聞かれて、渡さなくてよいことを答えないのは、故意に告げない行為の例として国の解釈に挙げられています。(※S213)
訪問購入の決まりが当てはまらない場合

上の表の「8日間」や書面の決まりは、次の場合には当てはまりません。迷ったら、消費者ホットライン「188」に相談してください。

  • 対象外の品物:自動車(二輪を除く)、持ち運びが容易な物を除く家庭用の電気製品、家具、書籍、有価証券、CD・DVD などは、訪問購入の決まりの対象外です(特定商取引法施行令 第34条 ※S211・S26)。ただし国の解釈では、家具や本などでも、骨とう品・収集品として取引されるような物(新品の販売価格以上で取引されるような物など)は対象になります。(※S213)
  • 自分から「家で売るので来て」と頼んだ場合:住居で売買の申込みや契約をすることを自分から求めた人には、書面・クーリング・オフ・品物を渡さなくてよい決まりなどが当てはまりません(第58条の17第2項 ※S210)。国の解釈では、「この値段なら売るので来て」「いくらでもよいので買い取って」は当たり、「見積りをしてほしいので来て」は当たりません。着物の買取を頼んで来た業者に指輪の売却を勧められた場合も、指輪の分は当たりません。(※S213)
  • 近く住まいを引き払う人が、自分から業者を呼んだ場合:売る人がその住居から退去することにしていて、自分から取引に誘った場合も、一部の決まりが当てはまりません(施行令 第37条・施行規則 第150条 ※S211・S212)。国の解釈では、例えば電話で誘った日から2週間程度の後に退去する予定の場合で、いつか退去するといった曖昧な予定は当たりません。(※S213)

自分から頼んだ場合と、近く住まいを引き払う人が業者を呼んだ場合でも、業者が名乗る決まりと、勧誘を受けるか確かめる・断った人に勧誘しない決まりは残ります(第58条の17第2項)。対象外の品物には、訪問購入の決まりはどれも当てはまりません(第58条の4)。(※S210・S19)

古物商の許可と、本人確認

  • 買取をする業者は、古物商の許可(都道府県公安委員会)が要ります。許可の確かめ方は、「片付け業者の資格・許可は何を見ればいい?」にまとめています。(※S54)
  • ただし国の解釈では、古物商の許可は盗品の流通を防ぐためのもので、許可があることをもって、消費者の保護の点で適正な取引をする業者とはいえません。(※S213)
  • 古物商は買い取るとき、相手の住所・氏名・職業・年齢を確かめる決まりです。対面では運転免許証など身分を証明する書類の提示を受ける方法などがあります。代金の総額が1万円未満なら原則不要ですが、書籍・CD・DVD・家庭用ゲームソフトなどは1万円未満でも確かめる決まりです。(※S217・S218)売る人の身分証を用意しておきましょう(手帖のおすすめ)。

着物・骨董・美術品は、家族で決めてから(手帖のおすすめ)

  • 形見分けを先に:家族の誰かが残したい物があるかを聞いてから、売る物の一覧を作ります。売った物は戻らないことがあります(上の相談の例)。
  • 詳しくない人が一人で決めない:国の解釈では、亡くなった父の切手を受け継いだが切手に詳しくない息子に、価値の説明なく全部を売る契約を勧めることは、知識・経験に照らして不適当な勧誘に当たる可能性が高い、とされています。(※S213)手帖では、価値が分からない物は、売る前に家族で相談し、複数の業者の査定を比べることをおすすめします。
  • 相続人どうしで話してから:親が亡くなっている場合は、家財を売る前に、相続人どうしで話し合っておくのが手帖のおすすめです。相続放棄を考えている人は、家財を売る前に「荷物が残った実家は売れる?」の注意を読んでください。

出張買取の業者に聞くこと

  • この一覧の物(種類と数)の査定に来てください。一覧の外の物は売りません
  • 当日来る人の名前と、古物商の許可番号を教えてください。当日は行商従業者証を見せてもらえますか
  • 契約するときは、品物ごとの名前・特徴・価格を書いた書面をもらえますか
  • 迷う物は、8日間手元に置いてから決めたいのですが、それでよいですか

印刷やスクリーンショットで、そのまま使えます。

次に確かめる先

制度・手続きを確かめる(公的な窓口)

  • 消費者ホットライン「188」:断っても帰らない、頼んでいない物を求められた、書面が無い、クーリング・オフが当てはまるか迷うとき(※S214・S215)
  • 110番:身の危険を感じたとき、品物を盗まれたおそれがあるときは、すぐに通報(※S214・S215)
  • 警察相談専用電話「#9110」:緊急ではない警察への相談(※S215)

出典と確認日