売れるまで実家を持つと、どの費用が増える? 1か月・半年・1年で足す

更新:2026年10月25日

結論

売れるまでの費用は、「毎年かかる」「毎月かかる」「行くたびにかかる」の3つに分けて、3か月・6か月・12か月で足すと比べられます(手帖の整理)。 固定資産税は、1月1日の所有者に1年分がかかります。(※S130)名義(登記)が買主に移るまでに1月1日をまたぐかどうかが、待つ費用の大きな分かれ目です。この記事では売れる値段の予想はしません。

この記事が合う人

  • 仲介で売り出して待つか、早く手放すか迷っている人
  • 空き家になった実家に、毎月・毎年いくら出ていくか整理したい人
  • 管理が悪いと税金が上がると聞いて心配な人

合わない人(別の記事・窓口へ)

  • 売れる値段の見込みを知りたい人(不動産会社の査定へ。比べ方は「仲介の査定額と買取の提示額」の記事へ)
  • 税額の計算や特例が使えるかを知りたい人(市区町村の税の窓口・税務署へ)

費用を3つに分ける

分け方主な費用何で決まるどこで金額を確かめる
毎年かかる固定資産税・都市計画税1月1日の所有者に1年分(※S130・S132)毎年届く課税明細書(※S128)
毎月かかる電気・水道の基本料金、火災保険料契約しているプラン・口径・保険の契約電力会社・水道局の検針票、保険証券
行くたびにかかる交通費、草刈り・換気などの作業行く回数と距離自分の記録

国の調査では、空き家の管理の頻度は「月に1〜数回」が34.0%で最も多く、次が「年に1〜数回」27.6%でした(2024年の空き家所有者実態調査・管理者がいる空き家)。(※S143)

固定資産税は「1月1日」で決まる

  • 固定資産税は、1月1日(賦課期日)に登記簿などで所有者とされている人にかかります。登記上の所有者が1月1日より前に亡くなっている場合は、1月1日に実際に持っている人です。(※S130)
  • 納める時期は、原則4月・7月・12月・2月中で、市町村の条例で決まります。(※S130)
  • 標準税率は1.4%です。都市計画税は、市町村が原則として市街化区域内の土地・家屋に条例で課すことができる税で(課していない市町村もあります)、税率は0.3%以下です。(※S132)

年の途中で売ったとき

  • 年の途中で売っても、その年度の税は1月1日の所有者に全額かかります。売主と買主の間で日割りで精算することは、契約書などで取り決めることが「慣行的に行われているようです」と名古屋市は書いています。(※S136)
  • 国税庁は、買主が残りの期間の分を売主に払う合意は、売買のときに個々に行う調整で、受け取った額は売主の譲渡の収入に入るとしています。(※S137)

つまり、名義が買主に移るまでに次の1月1日をまたぐと、次の年度の1年分がかかります。売買の契約の日と、代金を受け取って名義を移す日(決済・引き渡し)は、ずれることがあります。精算をするかどうか、どう分けるかは、売買の契約で決めることです(手帖の読み取り)。

管理が悪い空き家は、土地の税が上がることがある

きちんと管理していれば、ここで書く税の話は通常は関係しません。市区町村から勧告を受けるところまで行くと、土地の税が上がります(手帖の整理)。

  • 住宅が建っている土地は、固定資産税の課税標準が、200㎡以下の部分は6分の1、200㎡を超える部分は3分の1になる特例があります(都市計画税は3分の1と3分の2)。(※S131・S140)
  • ただし、空家法で市区町村から勧告を受けた「管理不全空家」「特定空家」の土地は、この特例から外れます。「指導」の段階では外れません。(※S131・S141)
  • 勧告とは別に、構造上住宅と認められない、取り壊す予定、居住のために必要な管理を怠っているなどで、今後人が住む見込みがないと認められる家の土地には、そもそも特例が当てはまらないと国の指針は書いています。(※S140)神戸市は、適切に管理されている空き家は特例を外す対象にならないと案内しています。(※S135)
  • 神戸市の例では、特例が外れた土地の固定資産税は一般的に3.5倍程度になると説明しています。(※S135)
税の上がり方と、勧告が終わるとき
  • 特例が外れたときの税は、課税標準の上限を価格の7割とする負担調整などで決まります。(※S140)
  • 直して勧告が撤回されれば、特例の要件を満たす家の土地は、特例の対象に戻ります。勧告のあとに、建物と土地のどちらも持ち主が変わった場合は、勧告の効力はなくなり、新しい持ち主には改めて指導から行われます(建物か土地の片方だけが変わった場合などは、効果が続きます)。(※S141)
空家法の改正と管理のしかた
  • 「管理不全空家」は、2023年12月13日に施行された空家法の改正でできた区分です。特定空家への命令に違反すると50万円以下の過料です。(※S138・S139)
  • 国の指針は、空き家は一定の頻度で点検し、通気・換気をし、郵便物を確かめ、冬は給水管の元栓を閉めることなどを、望ましい管理の例に挙げています。自分でできないときは管理事業者などへの委託が考えられる、としています。(※S140・S142)

毎月の基本料金(例:1社・1市)

電気や水道は、使わなくても基本料金がかかります。ここでは例として、東京電力エナジーパートナーと東京都23区の料金を挙げます。ほかの会社・地域では違います。

  • 電気:東京電力エナジーパートナーの従量電灯B・30アンペアの基本料金(税込・1か月)は、2026年10月までが935円25銭、2026年11月1日からは1,176円18銭です。約款では、まったく電気を使わない月の基本料金は半額です。使った分の料金・燃料費調整額・再エネ賦課金は別にかかります。(※S144)
  • 水道:東京都23区で口径20mmの場合、水道の基本料金は1か月1,170円、下水道は使用量8m³までで1か月560円です(どちらも税抜。水道と下水道それぞれに1.10をかけて、1円未満は切り捨て。都の計算例は2か月分で、毎月検針の人もいる)。(※S145)

火災保険:空き家になったことで保険料がどう変わるかを示した公的な資料は、手帖では見つけられませんでした。日本損害保険協会は、契約のあとに建物の用法などが変わったら保険会社に通知する必要があり、故意または重大な過失で通知しなかったときは、契約を解除されたり保険金が支払われなかったりすることがある、と説明しています。(※S147・S146)空き家になったら、加入している保険会社に知らせる必要があるかを確かめましょう(手帖のおすすめ)。

架空の例:3か月・6か月・12か月待つと

架空の例(手帖の計算例)

電気・水道は上の「例」の料金、それ以外の数字はすべて架空です。

  • 毎月:電気の基本料金 1,176円18銭 + 水道・下水道の基本料金 1,903円((1,170円+560円)×1.10)+ 火災保険 3,000円(架空:年36,000円)= 約6,079円
  • 行くたび:往復の交通費 16,000円(架空)を、月に1回
  • 毎年:固定資産税・都市計画税 年10万円(架空)。1月1日をまたいだときだけ足す
待つ期間1月1日をまたがない1月1日をまたぐ
3か月約66,238円約166,238円
6か月約132,475円約232,475円
12か月―(12か月持つと、必ず1月1日をまたぐ)約364,950円

式:(毎月の費用 + 行く1回の交通費)× 月数 +(1月1日をまたげば)1年分の税。電気をまったく使わない月なら、基本料金は半額になります(※S144)。

10月や11月から待ち始めると、3か月でも1月1日をまたぎます。12月に契約しても、名義を移すのが1月なら、次の年度の分がかかります。売り出す時期を決めるときは、カレンダーで1月1日の位置と、決済の日の見込みを確かめましょう(手帖のおすすめ)。

この例の数字では、交通費が毎月の費用でいちばん大きくなりました。国の調査でも、管理の課題に「遠方で往訪が困難」を挙げた世帯が21.6%ありました(売却用の空き家では約31%)。(※S143)遠い実家では、行く回数を減らす工夫(管理の委託など)も比べてみましょう(手帖のおすすめ)。

国の調査では、維持費はいくら?

2024年の国の空き家所有者実態調査では、年間の維持管理費(管理の委託料、電話・ガス・水道などの契約の費用、空き家までの交通費、税金などを含む)は、「10〜20万円未満」が16.7%で最も多く、「5〜10万円未満」15.6%、「1〜3万円未満」14.1%と続きました。(※S143) これは所有者の回答の分かれ方で、相場ではありません。自分の実家の数字は、下の表で足してください。

自分の数字を入れる表(手帖のおすすめ)

費用金額3か月6か月12か月
電気の基本料金(月)
水道・下水道の基本料金(月)
火災保険(月にならす)
交通費(1回)× 月の回数
草刈り・管理の委託など
固定資産税・都市計画税(1月1日をまたぐとき)
合計

待つと期限が近づく特例もある

相続した空き家を売ったときの税の特例(一定の要件あり)について、国税庁は、相続の開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどを要件に挙げ、制度は2027年12月31日までの売却が対象と案内しています。当てはまるかは、税務署や税理士に確かめてください。(※S148)

仲介と買取の比べ方は「仲介の査定額と買取の提示額、そのまま比べていませんか?」、何社かに同じ条件で相談するときは「実家の相談を何社かにするなら:伝える事実のシートと、共通の質問」へ。

不動産会社に聞くこと

  • 売り出してから決まるまで、どれくらいの期間を見ておけばよいですか
  • 1月1日をまたいだ場合、固定資産税の精算はどうする取り決めが多いですか
  • 契約してから決済・引き渡し(名義を移す日)までは、どれくらい空くことが多いですか
  • 売れるまでの管理(換気・郵便物など)を頼める先はありますか

印刷やスクリーンショットで、そのまま使えます。

市区町村の税の窓口に聞くこと

  • この土地に、住宅用地の特例は当てはまっていますか(課税明細書のどこを見ればよいですか)

印刷やスクリーンショットで、そのまま使えます。

次に確かめる先

制度・手続きを確かめる(公的な窓口)

  • 市区町村の固定資産税の窓口(東京23区は都税事務所):課税明細書の見方、住宅用地の特例(※S133・S128)
  • 実家のある市区町村の空き家相談:管理のしかた、管理を頼める先(空家等管理活用支援法人などがある市町村も)、管理不全空家の指導・勧告について(※S140)
  • 税務署:売ったときの税の特例(※S148)

出典と確認日